入試案内

入学を希望する諸君へ

九州大学医学部生命科学科を志す君たちへ

生命科学科は平成19年4月に医学部に新設された4年制の学科です。定員は12名で少数ですが、3年前期までは医学部医学科(定員111名)の学生と多くの共通科目を一緒に学び、人間科学の視点を身につけてもらうようにアレンジされています。これは、理学部や農学部等に併設されている生命科学科と大きく異なる点で、九州大学医学部生命科学科の特徴であり原点です。全国的にもユニークな存在であるため、出身高校は九州内に留まらず、全国に分布しており、海外からの留学生もいます。高校では大学で学ぶ専門知識を理解する基礎的知力が得られますが、多くは受け身の勉強です。大学では能動的な勉強が必要で、自発的に勉強することではじめて専門知識は身につけることができます。この学科を受験しようとしている諸君には、生命科学科の立ち位置を理解してもらい、明確な動機づけをもって入学してもらいたいと思います。

 医学部内にある生命科学科という特色を広く紹介するために、ウェブサイトや小冊子「高校生のための生命科学科紹介」にて、常に新たな情報を発信しています。その中には在校生の様々なメッセージが掲載されていますので、生命科学科を知る上でとても役立ちます。8月の初めに開催されるオープンキャンパスでの説明会には高校生が多数参加していますので、生命科学科をわかりやすく理解してもらうために担当教員の体験談などの講話、研究室訪問、在学生との説明・対話会を企画し、生命科学科で学ぶことについて理解を深めるようにしています。是非、皆さんの進路選択の糸口としてこれらの情報に触れてください。

 医学部生命科学科の学生には、生物学と医学の幅広い基礎的知識を修得することが求められます。アドミッションポリシーを見ていただくと、求める学生像 (求める能力,適正等)や教育課程の特色・内容を知ることができます。平成26年度入学者からカリキュラムの改訂があり、1年目は伊都キャンパスで基幹教育を学び、2年目からは病院キャンパスで専門教育が始まります。3年次前期までの専門教育は医学部医学科との共通科目が多く、基礎医学を中心に系統立てて学びます。その後、3年次後期からは生命科学科独自のカリキュラムを組んで、個々の学生が将来進む方向性を考慮に入れた様々な選択科目が開講されています。4年次前期には臨床医学の概論講義を生命科学科向けに開講し、これによって医学に関する体系的知識が習得できます。研究室配属が3年次前期から始まり、研究室での実践的な体験学習のための充分な時間を確保しています。卒業研究発表はオープン参加で多くの教員や学生の参加があり、優れた内容の成果発表に毎年高い評価がなされています。さらに卒業生のほとんどが九州大学や他大学の修士課程に進学しています。
 

生命科学科の使命

「生命の世紀」と言われる21世紀では、ヒトゲノムのDNA情報を基盤としたゲノム医科学のさらなる発展が期待される一方、ポストゲノム科学を始めとする先端生命科学研究の領域においては、バイオインフォーマティクス、システム生物学を駆使した広範な研究が今後爆発的な展開をみせると予想されています。
また、再生医療やナノテクノロジーを基盤とした診断・治療法、先端医工学を支えるロボティクス関連技術や生体工学等も急速に展開しています。この新領域に挑戦的に参画するためには、人を対象とする医学の知識に加えて、生命現象に関する分子レベルの理解や情報処理能力が不可欠であり、情報科学や工学領域との融合に機動性をもって的確かつ柔軟に対処できる人材育成の社会的必要性が極めて高い状況です。
残念なことに、「良き臨床医」の養成が叫ばれ、若手医師の専門医志向が強まる中で、医学部医学科学生にさらなる先進分野の専門知識や情報処理に関する高度な教育を付加する余裕はありません。したがって、今、将来の基礎医学の研究と教育を支える人材の養成は急務となっており、その目的を達成するために、生命科学科を新設しました。

養成したい人材

(1) 幅広い知識を生かした高度な専門的能力を備えた人材

生物科学系の基礎知識、医学教育のコア部分の幅広い基礎的知識、並びに分子細胞生物学、生体応答制御学(ゲノム医科学を含む)、生体機能情報学等の生命医科学分野に関する基盤となる知識を身につけた人材を育成します。
 

(2) 生命科学に関わる専門職として発展性のある人材

4年間の学士課程において、これからの専門職として活躍するのに必要な生命医科学分野に関する基礎能力を身につけてもらいます。また、医学教育コア・カリキュラムに則した学習により、人を対象とする医学の基本を学ぶことを通して、生命倫理・研究倫理に裏打ちされ人間科学を推進するための見識を備えてもらうことで、将来の生命科学領域の多様なニーズに的確に対応できる人材を育成します。さらに、生命科学分野の専門職は、今後益々国際的にも広範な活躍が期待されており、そのために必須の英語能力の指導にも重点を置いています。
 

(3) 課題探求・問題解決能力を備えた人材

基礎知識を修得した上で、コース別の研究法をはじめとする様々な教育プログラムを履修する過程を通じて、人々の健康に関わる多様な課題に取り組み、解決策を導きだす能力を備えた人材を育成します。
 

(4) 生命科学分野でリーダーシップを発揮できる人材

生体機能情報学等の学際的新領域や分子細胞生物学や生体応答制御学等の今後新たな発展が期待できる領域に特化したコースを設定し、学生の希望に合わせた基礎学力の指導を行うとともに、希望する研究室に在籍し、教員の個別指導のもとに研究を行います。学生一人ひとりにテーマを設定し、取り組んだ成果をまとめて卒業論文を作成します。医学研究室における体験を通じて、人を対象とした視点を有する専門職として自立・活躍するために必要な基礎的能力・態度を身につけることができます。さらにライフサイエンス関連分野の大学院や医学系学府(医科学専攻等)の大学院教育課程との連携を通じて、より高度な専門性を有する人材を育成します。国際的に活躍できる人材養成に不可欠な英語教育を重視したカリキュラム編成により、科学論文の読解だけでなく、会話や学術講演を理解するためのコミュニケーション能力についても基礎的な教育を行います。

今日の医学の発展は人体の仕組みを理解するために先人たちが弛まぬ努力を積み重ねてきたことの恩恵による所が極めて大きいです。その知識や概念は度々新しい発見によって塗り替えられて来ました。予期せぬ研究成果が得られた時もそれを見逃さない科学的センスを養い、強い意志を持って研究を続けることが重要です。卒業後、どの分野に進んでも、その気概をもって頑張って欲しいと思います。九州大学医学部生命科学科に是非入学してもらい、世界をリードする研究者になってもらうことを切に願います。さらに、生命科学科の歴史の一頁を刻んでくれることを希望します。
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