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例)研究発表 生命科学科
[2007/10/19]
◇産学連携による「糖尿病管理大作戦」――国の生活習慣病予防対策に反映。

 平成20年4月から健康保険制度が改められて、40歳―74歳の国民は、生活習慣病予防の健康診断を受け、その結果に基づく保健指導を受けることになる。予防・早期発見・早期治療によって本人のQOLを高め、併せて年々増大する国民の医療費を削減するねらいからだ。そうした考え方をいち早く研究、実践しているのが九大と九州電力などが産学連携を行うカルナプロジェクト(リーダー・名和田新特任教授)である。カルナとは、ローマ神話の健康を守る女神だが、「疾病管理(Disease Management)」事業として、いま全国から注目されている。
 疾病管理は、もともとアメリカで医療費削減志向により低下した医療の質を向上する手段として考え出された。カルナでは、糖尿病の予防・治療にこの考えを導入した。カルナ事務局を担当する九大病院医療情報部の中島直樹講師(糖尿病専門医)は、「現在日本で糖尿病患者は740万人と推定されるが、受診しているのは400万人、そのうち糖尿病専門医にかかっているのは100万人しかいない」という。患者さんの約半数は自ら治療を放置し、受診者の4分の3は専門医の治療を受けていない。これ以外に900万人という糖尿病予備軍が控える。患者さんや予備軍の足をいかに早く医療機関に向かわせ、かかりつけ医と専門医の連携を図るか。早ければ早いほど患者さんのQOLが保たれ、医療費も抑えられる。それをサポートする例がカルナ事務局である。平成14年から取り組み、同19年1月から企業、医師会などの協力で約500人のモニター登録者の糖尿病管理大作戦が始まった。
 糖尿病はいろんな合併症につながるので、その病状には個人差があって治療法もさまざま。そこで工夫したのが、発電所の制御技術を生かしたというからユニークである。糖尿病診療ガイドラインに沿って患者さんの個別性に合わせた約3000パターンのクリティカルパス(治療計画表)を作成できる仕組みを作った。事務局が患者さん固有のパスを作ってかかりつけ医に提出することで、医師は現実的に標準的な外来診療を出来るわけだ。事務局は健診データをIT管理し、コールセンターから毎月患者さんに電話連絡して予約日の脱落が無いか、病態をちゃんと認識しているか、合併症を併発していないか、専門医への紹介など、きめ細かな疾病・保健指導がなされる。
 疾病管理を導入した国の新しい健康診断が始まる来年4月からは、カルナでは約3万人に広げて生活習慣病の疾病管理を始める。5年後には30万人を目標にしている。

<参考論文>
中島直樹、小林邦久、井口登與志、西田大介、田中直美、布川圭子、副島秀久、高柳涼一、名和田新
特定健康診査/保健指導制度時代に対応する日本型Disease Management事業の開発. 医療情報学 27: 47-55, 2007

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