OB、OGインタビュー

生命科学科の卒業生の今

今どんなことをしていますか。

ケルン大学のCECADにてポスドクとして働き、主に細胞死が引き起こす免疫応答について研究しています。

大学院生時代には、免疫系による自己、非自己識別機構について研究していましたが、病原体のみならず損傷自己によっても免疫系が活性化されることを知り、様々な形態の細胞死がそれぞれどのような免疫応答を誘導し得るかに興味を抱き、今の研究分野に飛び込みました。

九州大学医学部生命科学科で良かったことを教えてください。

研究者を目指す仲間に出会えたことです。多くの学科では、研究者を目指す学生は少数派だと思いますが、この生命科学科はメンバー全員が同じ志を有して入学してきます。研究生活は辛いことが沢山ありますが、ここで出会えた友と支え合えたことで進み続けられたと思っています。

現在の研究生活について

朝9時から研究を始めています。ミーティングは火曜日の午前中に論文ディスカッション、木曜日の午前中にデータディスカッションを行なっています。

また、研究所の仲間とフットサルを週に1〜2回行い交流を深めています。ドイツ人はフィジカルが強いですが、日本の代表として負けずに頑張っています。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

研究生活には決まった道というのはありません。自らの意思で進み続けチャンスをものにしていかなければなりません。生命科学科に入学し研究者を志す学生の皆様には、臆さず色々なことに積極的に挑戦をしていって欲しいと思います。生命科学科は、研究に触れるチャンスが多く転がっています。このような恵まれた環境を生かし、研究の世界に思い切って飛び込み、毎日考え実験し続けた先でようやく出会える面白い現象と、早くから出会って欲しいと願っております。

今どんなことをしていますか。

細胞の個性を決める遺伝子の使い分けに興味を持ち、佐々木裕之教授指導のもと、その分子メカニズムに関する研究で学位を取得しました。現在はLorincz教授の指導のもと、ブリティッシュコロンビア大学で博士研究員として、これまでとは少し異なる観点から遺伝子の使い分けに関する研究に取り組んでいます。

九州大学医学部生命科学科で良かったことを教えてください。

生命科学科は医学部に設置されているため、基礎医学や病理学などを体系的に学ぶことができます。医学部以外でこれらの学問を体系的に学ぶことは難しいと思います。このような背景があることは研究を進める上でも非常に役立っています。また、目標を同じくする同期や後輩、医師の友人、さらには自身のやりたい研究を見つけるきっかけを作ってくれた恩師、世界的に有名な研究者の先生方とも多数出会えることができました。

現在の研究生活について

9時までに動物施設に入り、マウスを使った実験を始めます。実験の合間に、大量の塩基配列のデータを解析したり、そのデータを眺めながら教授や同僚と議論したり、学生の実験指導をしたりしているうちにあっという間に帰宅時間になってしまいます。土日は町に出かけることが多いですが、面白いデータが出ている時は土日でも一日中、研究室にいることもあります。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

まだ自身の研究者像について具体的にイメージすることは難しいかもしれません。私自身も高校生の頃は漠然と基礎医学の研究をしたいと思い、当学科への入学を決心しましたが、当時は海外で研究することなど全く予想していませんでした。研究したいという熱い思いをもって取り組めば、自ずと道は開けると思います。生命科学科は基礎医学研究者を目指す人に多くのチャンス与えてくれるはずです。共に基礎医学研究を推進できることを願っています。

今どんなことをしていますか。

九州大学医学研究院性差生物学講座に助教として在籍しています。「性差」がどのようにできていくのかについて研究しています。現在の研究室に所属する以前は卒業研究から修士課程、博士課程を通じて「X染色体不活性化」に関する研究を行っていました。当時盛んになっていたタンパク質をコードしない「非コードRNA」に興味をもち、これに関連する研究の道に進みました。

九州大学医学部生命科学科で良かったことを教えてください。

学科の人数が少ない点がとても良いと思います。横のつながりや縦のつながりといった仲間の関係だけでなく、授業に関しても大人数に対する講義より密度が高くなっていると思います。また、研究室配属においても学生の人数に対して研究室が多いため、競争になってしまうことが少なく、希望に沿った形で研究室配属ができるように感じます。

現在の研究生活について

朝から研究をはじめて、楽しく研究していると夜遅くになっているような生活です。自分の興味のあることについてどっぷりと研究できているのはとても幸せです。休日も研究のことが気になって研究室に行ってしまうくらいです。もう少しONとOFFのメリハリをつけても良いかと思いますが、自然と自分が楽しいと思えることに長く接しているような感じです。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

学科ができてから10年程度しか経っていないのでロールモデルが少ない部分があるかもしれません。逆に言えば、先例にとらわれずに自分の興味と向き合いながら進路を決めることができると思います。先の回答でも挙げたように、生命科学科は少ない人数ということもあって、濃密な時間を過ごすことができると思います。ぜひ生命科学科で最先端のサイエンスに触れながら、一緒に楽しい時間を過ごしましょう。

今どんなことをしていますか。
九州大学の博士課程に進学して現在1年目です。卵子や精子のもとになる生殖細胞が、発生過程の中でどのように形成されているのか、そのメカニズムを研究しています。学部3年生の研究室配属で色々な研究室をまわっていた時に今の研究室にお世話になり、生殖細胞という分野に面白さを感じ、配属を希望しました。
九州大学医学部生命科学科で良かったことを教えてください。
学部3年生の時に色々な研究室を1か月単位でまわることのできる制度が、カリキュラムとして取り入れられている点は、生命科学科の大きな魅力だと思います。数ある研究分野の中で、現在の自分が多くの時間をかけて取り組みたいと思う分野が何なのか、また初めて研究に携わるようになる環境として、その研究室ではどのようにアプローチしているのか、という点は、実際にその研究に触れないとわからないと思います。
現在の研究生活について
朝8時頃には研究室に行き、週2回のミーティングがない日、実験が立て込んでいない日は、午前中は論文を読むなどデスクワークを中心に時間を過ごし、午後から実験を進めることが多いです。基本的にご飯は研究室で食べることが多いですが、たまにラボメンバーとゆっくりランチしたりすることもあります。培養細胞を使って研究しているので、休日も研究室には行きますが、実験が終われば出かけたり家でまったりしています。
生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。
研究に携わっているとうまくいかないことの方が多いですが、自分の考えや仮説をどう組み立てて進んでいけば証明できるのか、を追求する過程は常にエキサイティングだと思います。生命科学科は1学年あたりの人数が少なく、基礎研究者の育成に特化しているため、研究を自ら進めていく力を養うにはとても良い環境です。これからの基礎研究を担うみなさんが、ぜひ生命科学科の一員となってくれることを願っています。

今どんなことをしていますか?

国立研究開発法人の総合職に就いています。今の部署では主に電子ジャーナルを公開するオンラインプラットフォームの運営に携わっています。

学部生(院生)の時はどのような研究をしていましたか?

メインの研究分野は発生生物学にあたります。細胞の形態変化の観点から、造血幹細胞の分化メカニズムについて研究していました。

学部生(院生)の頃の経験が今どのように役立っていますか?

同期や研究室の方達と関わる中で、研究の最前線に立つ人達を支える仕事に就きたいと思うようになり、就職先の選択につながりました。研究発表や論文執筆で培った「論拠を明確にして主張を的確に伝えること」は、企画案を通す等の総合職的な仕事の中でも役に立っていると思います。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

就職ありきで選ぶべきではない学科だと思います(自分も入学当時は将来こんな職業に就いているとは思いもしませんでした)。自分の道は自分で何とかするから生命科学の面白さを今噛み締めたい!と思う方は、この学科できっと充実した学生生活を送れるのではないかと思います。

今どんなことをしていますか?

ポーラ化成工業株式会社 フロンティア研究所に所属。医薬部外品の開発に携わっています。

学部生(院生)の時はどのような研究をしていましたか?

九州大学大学院 医学研究院 ウイルス学教室にて、パラミクソウイルスの構造・機能の研究をしていました。

学部生(院生)の頃の経験が今どのように役立っていますか?

基礎的な生理学、生化学の知識および、研究に携わった経験そのものは、企業・アカデミア問わず役立っていると思います。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

人体に着目して、幅広く知識を身につけることのできる学科だと思います。

今どんなことをしていますか?

化学メーカーで医療機器の研究開発の仕事をしています。医学や生命科学の知識をものづくりで活かしてみたいという思いからメーカーに就職しました。既存の製品の改良や新製品の開発のために実験したり書類を作成したりしています。

学部生(院生)の時はどのような研究をしていましたか?

血液のもとになる造血幹細胞の自己複製のメカニズムに関する研究をしていました。再生医療や幹細胞に興味があり、幹細胞再生修復医学分野の研究室への配属を希望しました。

学部生(院生)の頃の経験が今どのように役立っていますか?

仕事では学生時代とは異なる分野の実験をすることもありますが、研究室で教えていただいた実験の組み立て方や考察の仕方、文献の調べ方などは今でもとても役立っています。また、学部で学んだ基礎医学の知識は新しい製品のアイデアを考える際にも役立っています。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

生命科学科では最先端の基礎医学を学ぶことができるという、他の学部学科にはない魅力があります。基礎医学の背景を持つ人材はとても珍しいため、様々な業界で活躍できる可能性があるのではないかと感じています。まだ将来やりたいことが決まっていない方も、基礎医学に興味のある方はぜひ生命科学科で学びながら自分の進路を見つけてみてください。

今どんなことをしていますか?

この春から、科学警察研究所(科警研)という警察庁の附属機関の研究員として働いています。科警研は、科学捜査等に関する研究や、都道府県警察の科学捜査研究所(科捜研)では難しい高度な鑑定・検査、科捜研職員等に対する研修などを行う研究所です。私はまだ新人研修期間を終えたばかりで本格的な研究業務はこれからなのですが、今後は白骨の形態的特徴からの年齢・性別推定に関する研究等に携わる予定です。

学部生(院生)の時はどのような研究をしていましたか?

系統解剖学分野で、動物組織のかたちが作られる仕組みや、運動性を持つ細胞の動き等について研究していました。修士課程では研究室内で所属研究チームを移ったり、他大学との共同研究プロジェクトに複数参加したりして、分子生物学、細胞生物学的な実験から数理モデリング、コンピュータシミュレーションまで幅広い分野・手法の研究を経験させていただきました。

学部生(院生)の頃の経験が今どのように役立っていますか?

医学科と同じカリキュラムで基礎医学を学んだことで、ヒトという生物がどのように成り立っているのかについて幅広い基礎知識を得ることができました。さらに、3年次の研究室配属で1か月ごとに異なる研究室を体験できる生命科学科独自のシステムを活かし、様々な実験手法や研究アプローチを学びました。これらのお陰で、生物学の様々な分野で何かしら「知っている」/「聞いたことがある」事項がある状態となり、自分の詳しくない分野についての話題でも興味を持って聞きやすく、理解しやすく、又、調べやすくなったと感じています。より直接的に現在の仕事に役立っているものとしては、解剖学や生化学等の知識、画像処理やプログラミングの基礎等が挙げられます。

生命科学科を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

生命科学科の特筆すべき利点は、人数が少ないからこその柔軟性とつながりの強さだと思います。解剖実習など他学部では受けることが難しい医学科の講義を受講できたり、自分の気になる研究室を複数試すことができたりするのは、この学科ならではの特徴です。また、同期のつながりだけでなく期を超えた交流もありますから、入学後に修学や進路等について不安なことなどがありましたら、遠慮なく先輩達に相談してみてください。この学科が、皆さんにとって素敵な大学生活を送れる場所になることを願っています。