Q&A

「医師免許がなくても医学研究って出来るの?」など 

皆さんの率直な疑問にお答えします。

学科について

  • 生命科学科と他大学の理学部系との中身の違いは何ですか?

    • 生命科学科での教育は、「人間科学」の視点に立つという思想で構成されています。
      基礎医学に関する教育はかなりの部分(時間)を医学科の学生と一緒に受講します。
      従って、直接患者さんと接する医師を目指す友人と連携して、「ベッド(臨床の現場)」から提起された問題を「ベンチ(基礎実験)」で解明することを目指し、その成果を「ベッド」へと反映させるという過程 は、極めて有効であろうと考えます。 もちろん医学部医学科に入学した学生の中にも少数ですが、研究者を目指す若者はいます。
      医学教育カリキュラムの特に基礎医学部分に関しては、ヒトのカラダの理解をゴールとして体系化されているため、理工学部よりはるかに効率良く、しかも丁寧に学習することになります。

    生命科学科の学生は、人体解剖をするのですか?

    • 解剖学実習は医学科の学生とともに受けることとなります(骨学実習:1年後期、組織学実習:2年前期、肉眼解剖学実習:2年後期)。
      このうち肉眼解剖学については医学科の実習で系統解剖が進行中のご遺体について学ぶため、自らメスを持って解剖する事はありません。実習時間も医学科の6分の1程度です。
      解剖実習は人体の基本構築・構造を理解し、その機能について学習する上で、欠く事のできないものです。
      また献体運動の背景・意義・実際を理解し、献体に対する感謝の気持ちと、その期待に応える責任と自覚を持つことができるようになります。生命科学科の学生にとっても、人を対象とした生命科学を推進する使命感を高める上で、重要なステップになると考えています。
      さらに人の病気のモデルとして動物実験を行う時、人体との相違点を理解して解析できることは大きなアドバンテージとなります。
      [神経病理学分野:岩城教授]

    生命科学科の学生でも留学することはできますか?

    • 九州大学には、バラエティに富む国際交流のプログラムが準備されています。どのような形で「留学」を希望するかによりますが、生命科学科の学生の中には、夏休み期間を利用してサンフランシスコ郊外のサンノゼで4週間の語学研修プログラムに参加している学生もいます。
      半年や1年といった単位での留学生度もありますが、「単位互換」が認められていない科目は卒業となる単位に含めることができないので注意してください。この他、将来的には、大学院進学後にアメリカのバイオ関連研究所へインターンシップできる等のプログラムが実施できないか検討している最中です。大学院修了(博士号取得)後に、博士研究員(ポストドクと呼びます)として、一時期を海外の大学や研究機関で給与を得て働きながら研究を進めることは、生命科学系の研究者の一般的なキャリアパスとなっています。学部学生時代に限らず、「留学」の機会は多いことも知っておいてください。
      そのためには、基礎的なコミュニケーションの手段としての英語力が必須です。生命科学科のカリキュラムでは、「科学英語」を中心に教育を行っています。

    生命科学科では、どのキャンパスで授業を受けることになりますか

    • 生命科学科の学生は、1年次は主に伊都キャンパスで、2年次以降は馬出地区の病院キャンパスで授業を履修します。
      ※入学試験(一般入試)は、病院キャンパスで実施します。
      キャンパスマップ

    学費はどのくらいですか?

    研究内容のレベルが高くて、入学しても付いていけるかなと心配になりました。大丈夫でしょうか。

    • 生命科学科では、入学した学生が、無理なく4年生の時点で生命科学特別研究(いわゆる卒業研究)を実施できるところまで、能力を高めるためのカリキュラムを用意しています。途中で不得手な科目が出ても、学習意欲を失わず継続することで基本的には克服できると考えます。
      高校で懸命に頑張って入学試験の難関を突破された皆さんは、入学直後は、誰でも同じラインからのスタートとなります。つまり、それぞれの夢(将来のキャリア)に向かって新しく学びを始めることになります。それぞれの学年で取得すべき単位が定められており、日頃の学習の積み重ねによりこの基準を突破できれば、自然と実力は身に付くものと考えています。
      一方で、ひとたび研究生活に入れば、従事している特定の分野では世界のトップを目指すことになります。そのような努力を楽しいと思えることも、研究者の資質の1つと言えます。

    私は高校で物理を履修したので、生物を勉強していません。そのような人が生命科学科を目指しても問題ないのでしょうか。

    • 高等学校の「生物」を履修しているのが望ましいのは事実ですが、受験科目としては指定していないので(大学入試センター試験並びに個別学力試験)、「物理」「化学」のみで入学してくる学生さんがいます。入学してから、1年生の時に関連する教科の学習を進めながら、「生物」履修者よりも少し意識して学習することで、その後の授業科目の履修や研究活動に支障が無いように努力することはできます。生命科学領域の研究は、幅広い学問の上に立脚しています。将来何を目指すのかを考えながら、興味があれば是非挑戦してください。

    在校生は福岡出身が多いですか。少人数制の学科なので不安に思っています。

    • 医学部の中にある生命科学科というのは全国的にもユニークなためか、毎年全国各地から学生が集っています。医学科と比較しても、九州以外の出身者の比率が高いです。「在校生概況」のページに在校生の出身県をまとめていますので、ご覧ください。外国からは中国出身の学生も入学しています。

入学試験について

  • 高い英語能力が必要とされるようですが、大学入学時には、どの程度のレベルが必要ですか?

    • 大学入学時には、標準的な受験英語の能力があれば大丈夫ですので心配は要りません。しかしながら、研究者にとって英語が必須であることも事実です。生命科学科では医学英語のカリキュラムが用意されています。また、研究室に入れば否応なしに英語の論文を読むことになり、英語で研究発表する機会が訪れますので、自然と英語能力が磨かれます。

    どんな学生に入学して欲しいですか。

    • 生命科学科は、次世代の生命医科学研究と医学教育を担う人材を育成し、世界に輩出することを目標としています。そのため、幅広い興味を持ち、未知の領域を探求する旺盛な好奇心と柔軟な思考力を持つ学生を歓迎します。 詳しくは、アドミッションポリシーをご覧ください。

説明会について

  • 高校生向けの大学説明会の参加方法は?また、説明会後開催の研究室訪問への参加方法について教えてください。

    • ・九州大学が参加している全国進学説明会は自由に参加できます。スケジュール等はホームページで確認できます。詳細は入試課入試第三係(092-802-2007)にお問い合わせください。
      ・例年8月の第一週に開催されるオープンキャンパスへ参加するには、事前申し込みが必要です。申込方法は7月初旬にHPでお知らせしていますので、ご確認ください。(Web申し込みとなります。)
      なお、オープンキャンパス時には、研究室訪問の企画もありますので、希望者はオープンキャンパスの申し込み時に併せてホームページからお申し込みください。

    研究室訪問では訪問する研究室を自分で選択できますか?

    • オープンキャンパス時の研究室訪問は、その時に受け入れ可能な研究室となります。その時の状況と研究室訪問希望者のを踏まえて、大学側で振り分けることとなりますので、ご希望に添えない場合もあります。

    生命科学科のパンフレットが欲しいのですが・・・。

    • 生命科学科のホームページ内に、電子版を公開しています。是非ご覧ください。
      もし、紙媒体のパンフレットを取り寄せ希望の場合は、下記の要領で申し込んでください。
      返信用として角2の封筒に140円切手を貼り、住所・氏名を記入してください(ア)。
      (ア)を同封し、
      〒812-8582 福岡市東区馬出3-1-1
      九州大学医系学務課医学学生係
      まで送付してください。なお、封筒の表に、「生命科学科パンフレット希望」と記入してください。

奨学金・研究支援(大学院生)について

  • 学部や大学院に進学する際、経済的な支援はありますか?

    • 九州大学独自の給付型奨学金や研究支援制度、入学料・授業料免除の制度があります。また、日本学生支援機構や民間の奨学団体が行う奨学金もあります。詳しくは下記のページをご覧ください。
      九州大学ウェブサイト
      授業料・奨学金
      研究活動支援

       
      • 上記の「研究支援活動」のページにリンクがある「日本学術振興会 特別研究員」という制度は、若手研究者養成を目的としており、博士課程在学者、博士学位取得者を対象に研究支援を行っています。採用されると研究奨励金として月額20万円程度が支給されます。
      • この他にも、九州大学の取組みとして、大学院生等が将来研究者になるためのトレーニング等を目的とした「ティーチング・アシスタント(TA)」、「リサーチ・アシスタント(RA)」といった制度もあり、これらの学生には業務に応じて手当の支給があります。

研究について

  • 研究者って、そもそも何をやっているの?

    • 大学の前半までは、「既に分かっていること」を講義や実習で勉強しますが、研究者は「まだ分かっていないこと」を明らかにするのが仕事です。
    • 単に分かっていることを勉強する以上に大事なことがたくさんあります。すなわち、「未知の問題を見つける」こと、「問題解決のための方法を立案する」こと、「実験等によって問題を解決する」こと、「分かったことを論文にまとめて、世間に発表する」こと、のいずれも重要です。
    • 「未知の問題を見つける」「問題解決のための方法を立案する」上では、最新の研究成果から古い論文まで知識をインプットすることが必要ですが、それだけでは不十分です。自分の中でよく消化した上で、同僚と議論し、場合によっては他の研究者にアドバイスを請うといった行動力も必要です。研究室内で、あるいは国内外の学会に出かけてブレインストーミングすることも重要です。
    • 「実験等によって問題を解決する」には、研究室で実験に没頭することになります。誰もやったことのない実験は、成功することよりも失敗することの方がはるかに多く、試行錯誤することは日常茶飯事です。強い情熱と忍耐強さ、楽観的な思考が必要です。また、アイデア次第であっさり問題が解決することもあり、実験だけしていれば良いというものでもありません。
    • 最後に、研究成果は論文に発表して初めて世の中に認められることになります。論文は必ず英語で発表しなければなりません。更に、多くの人に受け入れてもらえるよう、論理的に、説得力を持って書く必要があります。国際学会に出かけて研究成果を発信することも必要です。このように、研究者にとっては、国語力や英語力も重要です。

    基礎医学研究や臨床医学研究と聞くのですが、どのような違いがありますか。

    医師免許がなくても医学研究者になれますか。

    • 臨床医学研究者になるには医師免許が必要ですが、基礎医学研究者になるには医師免許は必須ではありません。詳しくは基礎医学研究とは?をご覧ください。

    研究者になるには長い下積み生活が必要なんでしょうか?

    • 誰かのアシスタントとして働き技術を磨くことを下積みというのであれば、研究者に下積みはほとんど必要ありません。研究室に配属されると、最初の頃は誰かに実験を習う必要がありますが、ほとんどの人は大学院入学と同時に「自分の研究テーマ」を決めて自分だけの研究を始めます。
      また一般的に「研究者」と呼ばれる人は、大学院の博士課程を卒業して博士号を取得することで一人前とみなされます。大半の医学系の博士号の取得には、国際誌に筆頭著者の論文を1編以上発表掲載することが必須であり、大学院の修業年限は標準として理学系で大学院5年、医学系で6年となっています。大学院では、この論文執筆までの過程を通して、研究に必要なことの最低限を学んでいきます。
      博士号取得後も、研究者同士は相手の知識量や研究内容で相手を評価し合うので、勉強はいつまでも続けなくてはなりません。このように研究者は、大学院生であっても誰かのアシスタントではなく、研究者になるための様々なことを指導者から学び、主体的に「自分の研究テーマ」をやり遂げることが求められます。

    入学してすぐに研究をやりたいのですが、研究室で受け入れてもらえますか。

    • 九州大学の場合、1年生は伊都キャンパスでの授業がメインとなります。一方、医学部は馬出の病院キャンパスにあります。少々距離が離れてという問題はありますが、伊都での講義が終わった後などに、馬出の研究室に参加している学生はいます。また、夏休み等の長期休暇の間に研究室で受け入れてもらうことも可能ですし、研究室のミーティングや勉強会にだけ参加するといったことも可能です。

    ○○の研究はできますか?

    • 研究室紹介をご覧ください。
      こちらの研究室の中から、希望する研究室に行くことができます。

卒業後について

  • 私は博士課程まで進学してから大学の教員になることを希望しています。博士課程修了後すぐにそのような職に就けるのでしょうか。

    • 生命科学科の学生には、4年制の学部を卒業した後、できれば大学院医学系学府医科学専攻修士課程(2年間)に引き続き、博士課程(4年間あるいは早期修了の場合3年間)の大学院コースに入り、研究者として活躍するための十分な基礎生命医科学領域 のトレーニングを受けて欲しいと思っています。また九州大学の大学院システム生命科学府(博士課程5年一貫コー ス)も考えられます。ただしこちらは、理学部生物学科卒業の学生が多く進学するコースです。もちろん、他大学の大学院への進学も選択肢としてはあると思います。
      最近は、博士課程を修了して博士号を取得した後に、多くは博士研究員(ポスドク)として2~4年間程、同じ研究室に残って研究を継続したり、新たな領域に挑戦すべく海外の研究室に留学した後に、「助教(従来、助手と言っていた職位)」という教員のポジションに就くコースが考えられます。
      「助教」というポジションも大学や学部によって様々ですが、研究に力点を置いたものと、いわゆる学部生を対象とした教育に重点をおいたポジションの2通りがありますので、本人の希望・適性によって選ぶことになります。博士課程修了直後に「助教」のポジションに就くケースも無い訳ではありませんが、最近は研究の実績を積んでから教員になるのが一般的となってきています。
      研究者のキャリアパスのページもご覧ください。

    卒業生はどの分野で活躍していますか?

    • 卒業生の多くは大学院修士課程に進学しています。その後は博士課程に進学して学位を取得し、大学の教員(助教など)になっている人や、留学して活躍している人もいます。もちろん、企業で研究職に就いている人もいます。詳しくは、OB、OGインタビューもご覧ください。

    生命科学科に進学すると医療系の就職に有利ですか?

    • 生命科学科は研究者養成を主な目的としており、広く医学について学べますが、医療系に特に就職しやすいということはありません。
      また、医師免許、歯科医師免許、薬剤師免許、看護師資格などの資格取得はできませんし、教職課程も履修できません。「研究者として世界で活躍したい」という強い希望を持った皆さんのご応募をお待ちしています。