学生生活

2017年01月11日

国際・留学

トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム 留学成果報告会

  12月21日(水)18:00から19:30まで、基礎研究A棟3階セミナー室において、「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~」で短期留学を行った病院キャンパスの学生3名の留学成果報告会が開催されました。

  渡邉航大さん(医学部医学科5年)、原田有理子さん(歯学部歯学科6年)、川本圭晋さん(医学系学府保健学専攻 修士2年)が、三者三様の留学先での体験について各15分程度のプレゼンテーション形式で発表し、参加した教職員や学生たちにとり貴重な場となりました。

  発表の後に催された発表者と参加者の座談会を通して、より具体的な経験が報告会参加者と共有され、また、留学希望者に対し個々に応じたアドバイスも行われました。留学に関心をもつ医系学生の多くは、留学先、時期、活動内容、語学面や金銭面等に共通の不安材料や課題をもっており、今回の病院キャンパスにおける医系個別の報告会は、立場や志の近い学生同士の意見交換の場として意義のある機会となったようです。
 

留学成果報告(発表者3名)
  
渡邉航大(医学部5年) 
 
  サンフランシスコ近郊のスタンフォード大学における3週間のサマープログラム、MED (Medical Exchange and Discovery)にVIA (Volunteers in Asia)(アジアの学生とスタンフォード大学の交流を促進するNPO団体)を通じて参加した。現地では日本、中国、台湾からの参加メンバーら40名で行動を共にした。プログラムの内容は、英語による医療面接の技法を学ぶClinical English、ターミナルケアや臓器移植などの各分野のプロフェッショナルの先生方のご講演やパネルディスカッション、といった座学形式のものから、LGBT医療の視察やDesign-Thinkingなどの能動的な活動まであり、幅広く学ぶことができた。それら1つひとつの経験で、必ず質問するというルールを自身に課して積極性を身につけるとともに、第一線でご活躍されている講演者や指導者の先生方とのコミュニケーションを欠かさないようにした。また、ドクターに1日密着して診察室での医療面接から対応までをshadowingしたが、密着した人物が医師ではなくまだ医学生であることを知り、現地医学生の裁量や実践力に驚いた。MED終了後には1週間1人で滞在し、スタンフォードでご活躍されている医師や研究者、医療機器開発に携わられている先生、睡眠障害の治療や研究で世界的に有名なStanford Sleep Medicine Centerでご活躍されている先生など、多くの日本人の方々に急遽アポイントメントを取り、インタビュー活動を行った。プログラム全体を通し、各国の異文化や国民性に戸惑うこともあったが、対話を通じ1人ひとりの個性に目を向け、互いに尊重し心を開きコミュニティを広げていくことの大切さを学んだ。米国滞在中は多くの友人を作り、休日や空き時間に現地で知り合ったダンサーと趣味のダンスをしたり、友人らとレストランや観光名所を訪れたりした。現在は、留学で培った行動力、コミュニケーション力、リーダーシップ、ネットワークなどを生かし、将来再び留学するという目標や、医師として活躍する夢を胸に、本報告会の取り纏めなども含め積極的な取り組みを行っている。
 
原田有理子(歯学部6年) 
 
 デンマーク・コペンハーゲン大学で2週間Global Health Challenges(グローバルな視点から学ぶ公衆衛生学と課題)について学び、その後アフリカ・マラウイ共和国で1ヵ月間のインターンシップを行った。歯は命に関わることがない、という一般的な認識から軽視されがちな歯科の分野で、歯科治療の重要性や虫歯の原因・体への影響を訴えるべく、科学的根拠と併せ文化的背景からのアプローチを試みた。コペンハーゲンの学修活動では、発展途上国における非感染性の病気の拡大、糖分摂取を含む生活習慣病が先進国のみの問題でない事等、世界が抱える課題を学んだ。マラウイ共和国ではNPO法人ISAPH(アイサップ)のインターンとして、現地の母親60名に対し歯科に関する調査を行った。また歯科医院を訪れ、現地歯科医師が免許を持たず開業している事、消毒を施していないペンチで抜歯する事、それがエイズ等感染病の原因となっている事を実際に見聞し、歯科を学ぶ体制や歯科治療が整っていない現状とそれに伴う問題を知った。学修や実践活動以外では、特にマラウイではマラウイ人の家にホームステイをした事もあり、日本では考えられないような貴重な出来事を数多く体験した。現在は、最先端の公衆衛生学の視点と発展途上国で知り得た現状を念頭に、将来国際機関で国際歯科保健を促すリーダーとなれるよう日々勉強や歯科医療活動に飛び回っている。2017年2月より2カ月間WHOでのインターンも決まっている。
 
川本圭晋(医学系学府保健学専攻修士2年) 
 
 タイのマヒドン大学とチュラロンコン大学へ、国際的視野での診療技術習得と放射線診断機器の品質管理の研究を深めるべく4カ月間留学した。既に放射線技師の国家資格を所持しているため、最新の放射線機器を導入した現地病院での臨地実習が可能となり、多くの実践的な経験を積んだ。日本と違いタイの病院は諸外国からの患者が多く訪れ、多国籍・多言語交流が当然のように行われており、医療従事者には語学力を始めとする柔軟な異文化対応力が求められる。英語は勿論タイ語も学びながら、2020年東京で開催されるオリンピックを視野に、国際化社会の中で活躍できる放射線技師として、診療技術に加え異文化理解力の向上を目指し現地で学修や実践活動に取り組んだ。元来外交的な性格であるが、より一層積極的に学術交流に従事し、タイにおける幅広い医療従事者との人的ネットワークを構築した。留学最終月12月にはバンコクで開催された国際学会「ICMP2016」で発表し研究や留学の成果の集大成とした。現在は、2017年4月からの勤務が決定している京都大学病院での就職準備を進める中、留学で得たコミュニティと継続的な交流を行い、自身の研究内容深化のため研鑽の日々を送っている。 

病院キャンパス留学成果報告会 報告書
ページのトップへ