学生生活

2023年03月14日

その他

原田英鷹さん(医学科6年生)の研究成果が米国科学雑誌「Science Advances」に掲載

医学科6年 原田 英鷹さんの論文が米国科学雑誌「Science Advances」に掲載されました。

〇 論文名:
Collective Fusion Activity Determines Neurotropism of an en Bloc Transmitted Enveloped
〇 雑誌名:
Science Advances
〇 著者名:
Yuta Shirogane, Hidetaka Harada, Yuichi Hirai, Ryuichi Takemoto, Tateki Suzuki, Takao Hashiguchi, Yusuke Yanagi
〇 DOI:
10.1126/sciadv.adf3731

原田さんより学生さんへメッセージ

先日、ウイルス学研究室で柳先生、白銀先生のご指導の下で取り組ませていただいた研究内容が「Science Advances」という雑誌に掲載され、私はco-firstとしてこちらに携わらせていただきました。学生の間にこのような貴重な機会をいただけたことは大変恐縮で、お世話になった先生方には感謝してもしきれない思いでいっぱいです。

私がウイルス学研究室に通うきっかけとなったのは3年次の研究室配属です。配属期間中に取り組ませていただいた研究内容は「リガンドと受容体がシスに相互作用する」という、これまでの常識を覆す非常に興味深いものであり、一気に研究の楽しさに引き込まれました。この白銀先生のお仕事は「Journal of Virology」に掲載されておりますので、興味のある方は是非ご一読ください(https://journals.asm.org/doi/10.1128/JVI.00528-21)。

研究室には主に放課後の時間を利用して通い、少しずつではありますが実験に取り組ませていただきました。主な研究テーマは麻疹ウイルスの蛋白質やその受容体の機能解析で、それらを細胞に発現させることで起こる細胞融合の程度を観察するといった実験を行っていました。こうしたWetの研究はひとつひとつの実験に相応の時間を要するので、一度のミスが大きな時間ロスにつながります。あまり器用ではない私には失敗が続くことも多々あり、そのたびに自責の念に駆られていたのですが、白銀先生はミスを責めることなく、どこが悪かったのかを一緒に考えてくださるなど優しく受け止めてくださいました。私が研究活動をつづけることができたのはこのような温かい環境のおかげです。

私は学生の間に研究室に在籍させていただいたことで、研究活動の場に身を置いておくこと、それ自体に大きな価値があったと感じています。学生の立場として医学を学ぶと、どうしても暗記がかなりのウェイトを占めていて、高校のときと学習の姿勢にあまり変化がないと感じます。せっかく大学に来ているのにこれはもったいないのではないかと思うのが正直なところです。研究は未知の事象に意味を与える場です。そこでは一つの事象に対して様々な角度から考察がなされ、一見意味のなさそうな事象であっても大きな意味が見出されることもあります。そうした環境で意見を交わすだけでも非常に刺激を受けますし、物事を深く考察する姿勢も自然と身に付くのではないかと思います。

おそらくほとんどの医学部生は医師になるために大学に入学していると思います。私もそうでした。しかしながら、医師の仕事を体験してそれに適正があるかどうかが分かるのは臨床実習のある5年次以降と大学生活のかなり後半になります。医師以外の選択肢を持つという意味でも学生のうちに研究に触れてみるというのは良い経験になるのではないかと思います。研究に少しでも興味のある方は是非研究室の門を叩いてみてください。きっと行ってよかったと思っていただけると思います。

最後にこの場をお借りして、柳先生、白銀先生、橋口先生、鈴木先生、竹本さん、平居くん、吉井さんに心より感謝申し上げます。新たな概念を創出する瞬間を目にすることができたこと、意見を交わすなかで考えを深める楽しさを知ることができたこと、柳研という場で成長することができたこと、どれもかけがえのない貴重な経験になりました。本当にありがとうございました。


Interview

Q1.研究を始めたきっかけ
3年次の研究室配属
Q2.研究テーマを決めた理由
研究室配属の時に取り組んでいたテーマの続きだったため
Q3.今後の研究希望
bloc transmissionの起こりうる麻疹以外のウイルスにおいて協調現象がみられるかについてなど

九州大学プレスリリース
医学研究院等ホームページ 研究情報
ページのトップへ