在学生の声

在学生の声

研究に少しでも興味がある人は、
入口で立ち止まらず進んで来て欲しい


平成26年度 生命科学科4年 奥出 遥奈さん

本学科を選んだ動機を教えてください。

 ヒトの体で起こっている現象を知りたいという興味から、九大の医学部生命科学科に入学しました。

 高校では生物の科目が好きだったのですが、植物にはあまり興味はなく、ヒトの体についてもっと知りたいと思いました。将来の職業の希望も特になく、ヒトの体の仕組みや機能への興味から、漠然と生命科学科への進学を考えました。高校2年生の終わりくらいに各大学の生命科学科を調べているなかで、ホームページで九大の医学部生命科学科を知りました。兵庫に住んでいましたので、九州大学についての印象も何もなく、他大学の理学部の生命科学科も候補に入っていたのですが、医学部の生命科学科であり、ヒトの体に特化して学べる点や私自身が医療系に関心があったことなどから九大を志望校に決めました。
 

入学してからの感想をお願いいたします。

 受験では10名強の学科定員が不安だったのですが、入学することができたら、大勢よりは少ない方が強いつながりを持てていいだろうなと思っていました。実際は横のつながりだけではなく、先輩や後輩の縦のつながりも持つことが出来、想像以上でした。BS情報室という学生が使用できる部屋があり、そこに行くといろんな学年の学生が集まっていて、先輩に質問をしたり後輩からされたりと情報交換が出来ます。生命科学科公式の歓迎会や卒業祝賀会などのイベントもあり、それとは別に学生が計画した飲み会や、お祭りのお誘いの連絡などは生命科学科全員にメール送信し、学年の垣根を越えて親しく出来ています。

 学習面では、医学科と同じ学習が出来ることで良い面と、人によってはそう感じない面があると思います。私はヒトの体について知りたかったので、生化学も生理学も興味深く受講することが出来ましたが、生命科学科での学習では、そこまでの深い内容を期待していない学生もいるかもしれません。それでも、骨学では実際のヒトの骨で骨の部位を確認することができましたし、医学科の解剖実習の見学もさせて頂きました。そのような機会はなかなか持てるものではなく貴重な体験だったと思います。まだまだ学ばないといけないことは多いですが、私はイメージとおりの学習が出来たと思います。

 また、2年次からの専門教育科目はすべて必修なので、ひとつでも単位を落とすと留年です。その点では厳しさを感じました。大学のカリキュラムのイメージはもっと自由度が高いことを思っていましたので、そこは思っていたのとは違っていました。
 

実際に研究に取り組まれた感想をお願いします。

 入学したときにには、研究をやってみたいと思ってはいなかったのですが、3年次の前期の早期研究室配属で研究を体験してみて「楽しい。」と思いました。これからすることを説明して頂き、実際に実験をし、結果を得る。その過程が楽しかったです。

 その年の夏休みからは別の研究室で研究を教えて頂いています。それから一年たち、少しずつですが研究というもののイメージを持つことができてきました。研究の世界は今まで私が過ごしてきた日常の世界とは違うことが多く、わからないことだらけでしたが、この頃なんとなくつかめてきました。将来的には、指導してくださってる先生方のように、自分で考え疑問に思ったことを解明していくことが出来たら、もっと充実感が得られるだろうなと思います。

 研究室もそれぞれです。研究の内容も当然ですが、研究において重要視する点の違いや、指導方針の違いなど研究室によって全く異なっているように思います。私は学科の授業の時に、教授から研究の戦略や考え方をお聞ききしたことがきっかけで、今所属している研究室を選びました。重要視したのは、教授の考え方や指導方針です。学生ひとりひとりをじっくり見てくださり、研究への情熱もすごい先生だと思います。

 カリキュラムは学年により変更がありますが、私の学年では、3年次の後期に1ヶ月の期間で4つの研究室を体験できるカリキュラムがありました。私はひとつの研究室から移動しなかたのですが、これだけ多くの研究室を体験できる機会は学部生の間にしか持てないと思います。1ヶ月では研究で結果をつかめることは少ないかと思いますが、研究室の雰囲気などはわかると思います。多くの研究室を回って体験してみるのも良いと思います。

課外活動で印象に残っていることを教えてください。

ソフトテニス部
ソフトテニス部
 ソフトテニス部でキャプテンを務めたことが印象に残っています。

 高校からソフトテニスをやっていたことや生命科学科の先輩が入部していたこともあり、医学部のソフトテニス部に入部しました。医学部ソフトテニスには、医学科や生命科学科、保健学科の学生が所属し、週に3回、病院キャンパスのテニスコートで練習をしています。授業では、医学科の学生と一緒に受講していてもなかなか話す機会はなかったのですが、、部活では医学科学生とも学科、学年に関わらずつながりを持つことができました。また、同じ医学部の学生だったので、試験の予定など学業の状況も理解し合え、勉強と部活を両立しやすかったです。

 私の学年では、ひとつ上の学年の部員がおらず、2年次と3年次に幹部として活動し、キャプテンも1年させて頂きました。キャプテンなどを務めるような性格ではなく、また医学科の学生も話しかけづらい雰囲気の人が多いのかと思っていて、自分に務まるか不安だったのですが、医学科の学生である副キャプテンの助けもあり何とか務めることができました。また、医学部の体育会系の部活動の大きな大会として、西日本医科学生総合体育大会があるのですが、大会の代表主幹校は毎年順番に各大学が担当していて、私がキャプテンを務めた3年次の第65回大会は九大が代表主管校でした。大学で部活は高校までの部活と違い、日々の部活動の運営や大会の主催も学生で行います。施設の予約や予算管理なども全て学生が行わなければなりません。大変な仕事が多かったですが、今まで経験していなかったことが経験でき、今となってはいい思い出です。今でも一番親しくしているのは部活を通じた友人です。

生命科学科の授業について教えてください。

生命科学科入門 同期と
生命科学科入門 同期と
 入学してすぐには、生命科学科体験学習という科目があり、放射線を学ぶ目的で、(株)九州電力の玄海原子力発電所の関連施設の見学に行きました。東日本大震災の直後で放射線への関心が高まっている時期に学べたことは良かったです。2年次と3年次には、阿蘇シンポジウムに参加し、研究発表や質疑応答を聞かせて頂きました。このシンポジウムは、一般財団法人 化学及血清療法研究所が1977年から阿蘇で開催しているもので、微生物学、免疫学、分子遺伝学を中心とした基礎及び臨床研究に関し、専門の研究者が研究発表や討論を行うものです。希望者のみの参加で、医学部の先生の引率で阿蘇まで行きました。それまでに、このようなシンポジウムに参加させて頂く機会はなかったので、研究発表や質疑応答の雰囲気を感じ取れただけでも収穫でしたし、私たちと同じような他大学の学生も参加しており、シンポジウムの後の食事では色んな話も出来て、研究者の方、学生と交流を持てる良い機会でした。
  • 2年次に参加した第36回阿蘇シンポジウム

    2年次に参加した第36回阿蘇シンポジウム

  • 3年次に参加した第36回阿蘇シンポジウム

    3年次に参加した第36回阿蘇シンポジウム

  • 3年次に参加した第36回阿蘇シンポジウム

    3年次に参加した第36回阿蘇シンポジウム

 それから、医学科と共通ではなく、生命科学科のみ授業ですが、九大で研究室を持っている先生が順に講義を担当し、ご自分がされている研究のお話を聞かせて頂いたりしました。3年次の早期研究室の前の授業でしたので、実際に研究というものがわかっていない時期だったのですが、いろんな研究内容を幅広く聞ける良い機会でした。後の研究室選びの参考にもなりましたし、実際研究をやったあとで聞けたのであれば、もう少し内容についても理解が出来たのかもとも思います。  

 生命科学科で学生生活を過ごしてみて、少しずつ自分の視野も広がり、序所に研究というものに馴染みが出来ていったように思います。

これからの進路を教えてください。

 私は大学院システム生命科学府に進学します。システム生命科学府は修士、博士5年一貫制なのですが、修士の学位まで取得し就職する方もいます。私は出来れば博士まで進んで行き、研究者を目指してがんばっていきたいと思います。

最後に研究者を目指す学生にメッセージをお願いします。

 研究に少しでも興味がある人は、入口で立ち止まっているのではなく、進んで来て欲しいと思います。

 私は研究をやり始めて1年で、よくわかってはいませんが、やればやるほど楽しくなってきています。それほど奥深いものなので飽きることがなく進んでいけると思います。既に全く研究に興味が持てないとわかっている方や、臨床医を希望している方の進路変更で、この学科を選択することはお勧めできません。研究に特化したカリキュラムであると思いますし、医学科と同じ授業が受けられる分、臨床医への希望が強くなってしまうと思います。私の場合は、研究者になりたいという強い意思はなかったのですが、研究職が完全にNGではなく、学生生活で序々に研究の世界に馴染みを持ち、実際に研究をやってみて楽しいと感じ、そしてやればやるほど色んなことが知れて面白いと思えるようになりました。学科としては、研究者を目指して入ってくる人が多いですが、私のように研究を体験して研究者の良さに気づく人もいると思います。 研究室も多くあり興味のある研究内容に出会えると思います。研究に少しでも興味がある方はトライする価値があるのではないのでしょうか。
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