在学生の声

在学生の声

受験が忙しくなる前に
先のイメージをしっかり持って欲しい


平成28年度 生命科学科4年 加藤 利樹さん

本学科を選んだ動機を教えてください。

 小学生の頃から漠然と医師になりたいと思っていて、地元でレベルも高い九大の医学科を目指していましたが、センター試験で思うような結果が出せず、他の学部を受験することにしました。医師以外の将来を考え、他の学部の情報を集める中でこの学科を知りました。高校二年生の時、数学の担当の先生に「お前は医師というよりは研究者向きだ。」と言われたこともあり、研究者も良いかなと思ったのがこの学科を選んだ理由です。数学の先生は僕の答案を見て一言だけそう言い、僕に理由を伝えることもありませんでした。それがかえって衝撃的に感じ、反発する気持ちとあいまって印象的に覚えていたのですが、今はその言葉が正しかったと感じています。
 

入学してからの感想をお願いいたします。

 他の学部、学科と比べ圧倒的に人数が少ないこともあり、学科内のつながりが強く、同期をはじめ、上下の学年、また卒業した院生の先輩を含めて学科内の交流を持つことができました。飲み会などがよく開かれ、これから学科で学ぶ授業のことや、先輩が現在取り組まれている研究のこと、どのテストがきついかなど、様々な話をすることが出来ました。僕は進路変更で研究の道に来ましたので、研究についての予備知識も少なく、イメージを持ちにくかったのですが、このような先輩方のお話はとても参考になったと思います。
 

実際に研究に取り組まれた感想をお願いします。

 この学科では3年生の前期に、希望する研究室で実際に研究に参加できる『早期研究室配属』のカリキュラムがあります。僕は脳神経外科医を希望していたこともあり、研究でも脳神経系に取り組みたいと思っていました。早期研究室配属では、脳の視覚野の研究を行っており、Natureに複数回掲載されるなど、先輩方からも凄い研究者だと聞いていた大木教授の分子生理学分野へ配属させて頂きました。早期研究室配属に限らず研究室では学生の受け入れを行っており、学生は自由に多くの研究室を回ることも出来るのですが、僕は早期研究室配属から4年生の卒業研究までずっと大木教授の研究室で指導して頂きました。

 早期研究室配属では、開眼前マウスの脳の視覚野活動について調べました。マウスは生まれてから14日で開眼するのですが、開眼前にも視覚野では層ごとに特徴的な動きを示しています。先生方のご指導の下で研究を進めることが出来、実験も解析で使用するプログラミングのいずれも楽しいと感じました。その研究は、早期研究室配属期間後も引き続き卒業研究として継続し、順調に進めることができました。ただし、論文を書くとなると話は違い、卒業論文では背景知識を知るため膨大な数の論文を読む必要に駆られました。受験のときより英語を専門的に学ぶ機会が減っていき、英語力の衰えを感じる中でそれは大変な作業でした。

大学生活で印象に残ったことを教えてください。

 部活とサークルでの活動は印象に残っています。
 

 部活では空手をやっていました。初めはフットサルに興味があったのですが、新歓花見の帰りにひとつ上の空手部の先輩に勧誘され成り行きで空手部に見学に行くことになりました。空手部の雰囲気に魅了され、初めはきつかったですが空手自体にも楽しく熱中できました。空手部は総勢30人程度で週3回練習を行っていて、練習以外でも、山で筍を掘って部室の前で食べたり、キャンプや登山に行ったりと、仲間達といい時間が過ごせました。大学では趣味を持ちたいと思い登山などに興味があったので、ちょうど良かったと思います。
 

 また、サークルはKLSA(Kyushu-University Life Support Association)に参加しました。KLSAでは一次救命、二次救命についての勉強会を大学間で合同で行い、そして、医療従事者のみにとどまらず一般の方にも広めるため、学園祭などで講習会を行っています。僕は2年生の時に医学科の友人に誘われ参加しました。堅苦しいイメージが先行し、あまり乗り気ではなかったのですが、参加してみると講習会も実技の指導も工夫が凝らされており、何より色々な大学から多くの学生が参加していて、活動を続けることで出会える様々な人からの刺激がプラスになると思い、それからずっと参加しています。九大が開催するワークショップでは、運営にも携わることもあり、講義も担当しました。各イベントでは、参加者をまとめる参加者長、インストラクターをまとめるインストラクター長や講習会全体をとりまとめる総代表などの役割があり、総代表以外は全ての長を経験させてもらいました。普段の学生生活とは異空間であったことも楽しく感じました。
 

 その他では、3年の夏にカナダのバンクーバーに短期留学をしました。治安の悪いエリアに近づかなければ、アジア人からの留学生も多く親しみを持って話すことが出来、快適に過ごすことができました。山や滝が好きな自分にとっては、日本とは比べものにならないほどの壮大な光景に感動しました。

  • 空手部

    空手部

  • KLSA

    KLSA

  • バンクーバー

    バンクーバー

これからの進路を教えてください。

大木研究室の皆さんと
大木研究室の皆さんと
 大木教授の研究室で研究をするため、東京大学の大学院に進学します。大木教授の研究室を選んだのは、脳の研究を行いたいと言う自分の希望と合致したことや、実際に研究室でお世話になり研究室の雰囲気が良かったことなどがありますが、一番大きな理由は、大木教授の研究業績は素晴らしく、大木教授の下で自分の研究者としての礎をしっかりと築いていきたいと思ったことです。それから将来は、脳の記憶に関する研究に進んでいきたいです。
卒業研究発表会
卒業研究発表会
 大木教授は平成28年の4月から東京大学でも教鞭をとられているため、僕も3年生の3月までに実験を終え、4年生ではその実験結果の解析など中心に行ってきました。大学に入学する前は福岡を離れたくないと思っていましたが、今は新しい環境が新たな刺激になることを楽しみに感じています。
 早期研究室配属以降、やればやるだけ研究が面白くなっていき、迷いなく先の進路が決まったように思います。一時期、基礎研究より応用研究の方が人々の利益に直結し、やりがいを感じるのではないかと思ったこともありました。しかし、今は基礎研究に進んでいきたいと思います。それは、研究そのものが面白くやりがいを感じているからであると思います。自分の成果がどのように役に立つのか、立たないのかはわかりませんが、自分の研究を可能な限り進められたらと思います。

最後に研究者を目指す学生にメッセージをお願いします。

 この学科でのカリキュラムを修了しても、医師国家試験の受験資格は得られません。そのことをよく理解した上で選んで欲しいと思います。僕は研究に触れる中、研究を楽しいと感じましたし、また、救急救命のサークルで人の命を預かることの意味を感じ、自分に臨床医は向いていないとも思いました。結果的には良かったのですが、僕とは真逆に、医学、医療を身近に感じるこの病院キャンパスで過ごすうちに臨床医への希望が高まる人もいると思います。途中で自身の進路が揺らがないためにも、 受験が本格的に忙しくなる前の高校1年、2年の時に入学してから先のイメージをしっかり固めて欲しいと思います。また、それが受験のモチベーションにもつながっていくと思います。

 それから、入学してからの1年間は基幹教育で一般教養を学びます。また、その後の専門課程の座学で学ぶ統計学やフーリエ変換、微分積分などが、研究結果の解析などに役立つのですが、そのことを意識していないと学んで得られることが半減してしまうように感じます。常に先のことを意識して目の前のことに取り組んで欲しいと思います。
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