在学生の声

在学生の声

研究者として恵まれた環境でスタートできる。
本気でやる気があれば選んで欲しい。


平成29年度 生命科学科4年 白石 大智さん

本学科を選んだ動機を教えてください。

 高校生の時、生物の授業担当の先生がとても良い先生で授業が面白く、そのお陰で大学でも生物を学びたいと思うようになりました。元々医学に興味があったこともあり、九州大学には医学部に生命科学科があるのを見つけ受験しました。研究も面白そうだなとは思ったのですが、研究者になるためにこの学科に進学しようと強く思ったわけではなく、進学先のひとつとしての選択でした。
 

入学してからの感想をお願いいたします。

 まず、1年生では伊都キャンパスで基幹教育、いわゆる一般教養を学びました。先輩方は、1年生でも週に一度は病院キャンパスで医学の専門教育を学ぶカリキュラムだったのですが、僕の学年は違って1年のときに医学に触れる機会はありませんでした。そのため医学部に進学した実感は持てず、学習面では物足りなさを感じていました。その代わりというわけでもないのですが、バイトをしたりサッカーをしたりして毎日楽しく遊んで過ごし、学部の垣根なく大学1年生というカテゴリーで多くの人と交流することができ、交友関係を広げることができました。

 2年生から病院キャンパスで医学の専門教育が始まり、3年生の6月の研究室配属までは、医学科と一緒に生化学、生理学、解剖医学といった医学教育科目を受講し、試験も医学科と一緒に受けました。はじめは医学の専門科目を学習できる楽しさもあったのですが、次第にその余裕はなくなり、難解な試験の連続でどうにか試験に落ちないことだけを考え、ただひたすらにきつかったです。とはいっても、入試までの長いスパンで常にプレッシャーを感じる受験勉強と比べると、区切りがあるという点では楽だったかなと思います。
 

授業以外で印象に残ったことを教えてください。

 自分達第8期生が幹事となり生命科学科の10周年記念式典を開催したことが印象的でした。
 生命科学科は縦横のつながりが強いと聞いて入学してきたのですが、実際は昔に比べると段々と学年間の交流は薄れてきているように感じました。そんな中で10周年記念式典では他学年との交流ができ、加えて学部生時代が重ならないずっと上の学年の先輩にお会いすることも出来ましたし、僕らは幹事をしていたこともあって、顔を覚えて頂けたことも良かったです。また、つながりが薄くなってきているといっても、同じ出身学科という親近感はあり、僕が各研究室の訪問をしている時には「生命科学科が来たんだ。」と顔も知らなかった先輩方が温かく迎えてくれました。
  • 祝賀会で司会を行った

    祝賀会で司会を行った

  • 祝賀会の様子

    祝賀会の様子

  • 祝賀会幹事 第8期の学生

    祝賀会幹事 第8期の学生

 大学以外では、アルバイトが良い経験になったと思います。塾や家庭教師の方が時給は高いのですが、親からも社会経験のため飲食店でのバイトを勧められていましたし、僕自身も将来は飲食店で働く機会はないかもと思いラーメン屋を選びました。そこはとても忙しく、僕はよく叱られました。また、みんな等しく若手のバイトとして扱われ、僕より仕事が出来る人がいっぱいいて、受験に成功したという変なプライドはそこで無くなったと思います。そういった意味でも、社会勉強という意味でも良い経験を積むことができたと思います。

生命科学科の授業で印象に残ったことを教えてください。

 座学の授業ということとは少し外れるのかもしれませんが、2年生の時の「生命医科学研究入門」が印象に残っています。各研究室の先生が15分程度ご自身の研究について説明されるのですが、僕はそこで生体防御医学研究所の中山教授のお話を聞いたことがきっかけで、その次の春休みに中山教授の研究室を訪問して教授のお話を聞くことができました。その時は卒業して就職するか進学するか決めかねていましたが、中山教授は九大の生命科学科の学生が研究者の道を進むにあたっていかに恵まれた環境にいるかを明言され、僕はその言葉で研究者としての道を歩むことを決意しました。この授業をきっかけに「研究の道に進んで大丈夫」と思うことができ、将来の進路を決めることができました。

 また、3年生からはじまる研究室配属も良かったと思います。生命科学科では3年生の前期から希望する研究室に配属され、指導を受けながら研究に取り組み始めます。3年生の1年間で4つの研究室への配属ができ、4年生で卒業研究の研究室を選択するのですが、僕は初めの配属から卒業研究までずっと中山教授の研究室でお世話になりました。まだ1年しか経っていないのですが、研究を通してスケジュールの管理能力や論理的な思考力、長時間の実験や考察のため忍耐力や集中力など社会人としても大切な部分が鍛えられていると感じます。
 

これからの進路を教えてください。

 研究職に限らず理想の職業に就くことは簡単でないと思います。そして研究職は職に就くことができたとしても全ての人が思い通りの道を歩めない厳しい世界だと感じています。その意味では現在の単なる目標になるのかもしれませんが、修士課程に進学し、その後、博士課程、そして留学してから日本の大学で職を得て研究に携わることができたら理想的だと思います。なぜ、こんなに研究にこだわっているかはわからないのですが、研究に真摯に取り組むことで養われるスキルは別の道でも活かせるものだと僕は思います。少なくとも修士、博士は修行と思って続け、もし次の転機で研究以外のことを選択することがあっても、その時に最良の選択ができるように様々なスキルを身に付けておきたいと思っています。

修士課程での研究室を選んだ理由を教えてください。

 修士でも中山教授の研究室に在籍します。僕は生物を学びたいというアバウトな目的でこの学科に進学したこともあって特に希望の研究テーマはなく、そういう面では制限なく研究室を選ぶことができたのですが、特に中山教授の人材育成の方針に惹かれてこの研究室を希望しました。教授はその方針を魚釣りに例え「魚の釣り方から教えるラボ」とおっしゃっています。上から言われたことをただこなし、所謂「釣った魚を貰う」のではく、自分で調べて考え行動する力を鍛えることで「自分で魚を釣れるようになる」という方針です。しかし最初から最後まで全て一人で、という訳では無く毎週のミーティングで教授や先輩方にそれぞれの視点から指摘を頂き、それを踏まえてまた自分の研究を進めていきます。各個人が自分の研究について裁量を持つように指導され、当然に結果も求められるのでとても大変ですが、こうした過程はとても力になります。
  • 卒業研究発表会

    卒業研究発表会

  • 研究室

    研究室

  • 研究室の皆さんと

    研究室の皆さんと

 それに加えて「おもしろい研究とは何か」をしっかり教わることができることにも惹かれました。毎週の論文抄読会では専門のみならず様々なジャンルの論文をみんなで共有し、興味や知識を広げることができます。僕は興味をひとつに絞るということは、他への興味をなくすことであり、何かひとつの専門へのこだわりはその他全ての門外漢になることだと思います。研究者として未熟な修士や博士の時に興味や知識をひとつだけにしぼらず、間口を大きくして将来フレキシブルに動ける姿勢を持っていきたいと思います。

最後に研究者を目指す学生にメッセージをお願いします。

 僕もそうだったのですが、研究に興味はあるけれど将来の不透明感から決断に不安を感じる受験生は多いと思います。そういう方に伝えたいのは、中山教授の言葉をお借りして「研究者として残っていけるのは実力があって、かつやる気がある人。」ということです。「実力」というと、とても狭き門のように感じますが、この学科では医学をしっかりと学ぶことが出来、更に早期に研究に取り組むことができます。この学科で一生懸命に取り組むことが出来たなら、研究者として既にしっかりとした「実力」を身につけることができると思います。あとはやる気さえあれば良いわけなので、本気で研究者になりたいと思う人は安心してこの学科を選択しても良いのではないかと思っています。

 また、入った後は自分に合った研究室をしっかり選ぶことと、卒業までに多くの知識を得ることが大事だと思います。九大の医学部には臨床系も含め50くらいの研究室があります。自分が将来どうなりたいか、自分の求めるスキルを高めてくれるか、または研究に集中できる環境が整っているかなど、研究テーマのみにとらわれるのではなく様々な視点から研究室を選んで欲しいと思います。それから、学科の講義で学ぶことは後々にとても大事です。医学科とともに学んでいると同じ線路を走っているような錯覚に陥りますが、医学科と違い生命科学科は、卒業時に医師免許のような明確なものは得られず学んだ知識しか残りません。卒業後の線路を自分自身で引いていけるよう、多くのことを学んで「実力」をつけて欲しいと思います。
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