在学生の声

在学生の声

知識は本からでも得られるけれど、
人からもらった刺激こそ、
その後の人生に大きく関わるものだと思います。


令和3年度 生命科学科4年 武島 光里さん

研究者を目指したきっかけを教えてください。

 「医学の研究者」になりたいとはっきり思ったのは浪人の時でした。
私は幼い時に中耳炎をこじらせてしまって、中学校くらいまで大学病院に通院していました。当時、私の病気の治療法は確立しておらず、長い期間の治療が必要だったのですが、この経験で「医療の仕事っていいな」という気持ちと、「解明されていない課題に取り組むことっていいな。」という二つの気持ちが芽生えました。
 
 現役の時の受験では、強く意識してはなかったものの研究者に興味があってようで、他大学の生命科学科を受験しました。その後、浪人することになったのをきっかけに、自分は本当に何がしたいのかを真剣に考えました。そうして幼い時に抱いた「医療」と「研究」両方に魅力を感じる気持ちがあわさって、医学の研究者を目指すことを決めました。

九大の生命科学科を選んだ理由は?

 医学の研究者を目指すことを予備校の先生に伝えると、この学科を紹介してくれました。それまでは、生命科学科というと理学部のイメージが強かったのですが、医学部の生命科学科だと自分のやりたい研究へ近づけると思い、実家からは遠かったのですが、この学科を受験することを決めました。

受験勉強は大変でしたか。苦手科目の克服法などを教えてください。

  私は、ひとつのことに集中してしまうと、他のことがおざなりになってしまう性格の様です。中学、高校と部活で琴に取り組んでいて、大会に出場するなど熱中していました。。勉強もしていたとは思うのですが、結果、浪人させてもらって今があるという感じで、両親に感謝です。
  理系科目はそこまでではないのですが、英語などの文系科目が苦手で、克服するために「時間を区切って、毎日やる。」と決めていました。それは、苦手科目に成果や量を求めても、結果を出せないことも多く、「今日もどうせ出来ない。」といった負のループにはまると抜け出せなくなるように思ったからです。時間を区切ってでも毎日やることで、「苦手だけど今日は1時間も出来た。」というポジティブな気持ちで取り組むことができ、そうやって苦手科目との距離を近づけるようにしていました。
 
  志望校が決まっている人は、先に過去問を解いて、弱点を分析してみるということもおすすめします。ある程度実力をつけてからの模擬試験として過去問を解く人もいるかと思いますが、私の場合は、出題傾向と自分の弱点を先に分析してから、足りないところを埋めていく方が性にあっていました。

入学してみて、実際はどうでしたか? 生命科学科のいいところを教えてください。

  やはり、医学科と同じ講義が受けられるというのは大きいです。4年生の前期まで、医学科と同講義が受けられるのですが、その頃になると、臨床の内容も多くなります。講義を担当される先生は、九大病院の医師の先生で、日進月歩の医療現場の内容を反映した講義内容はとても有意義なものでした。そして、医学科の解剖実習を見学として参加できることは、医学部の生命科学科です。こうして、ヒトの体を網羅して系統だって学べることは、全体像をつかんで事象をとらえられることにとても役立ちます。今、論文を読んでいてもその論文が何のことを言っているのか、何につながるかのイメージを持てていると実感しています。
  そして、少人数ながら、個性的な仲間に出会えるところも良いと思います。私の学年はとても仲が良くて、試験前に一緒に勉強したり、普通に遊んだりしていました。この学科は新入生歓迎会や研究発表会など学生主体で進めるイベントもあり、オープンキャンパスなど学生がお手伝いする事もあって、ただ遊ぶだけでなく、みんなで話合いながらひとつのことに向かっていく経験は、精神的にも成長できたように思います。
今井教授と
 それから、教授の先生方も生命科学科の学生を気にかけてくださっているように思います。私の場合、入学してすぐの新入生歓迎合宿で、疾患情報研究分野の今井教授が「興味がある方は放課後ふらっと立ち寄ってくれるだけでいいから。」と呼びかけてくださったことで、研究室との縁がつながり、1年生の頃から研究室の勉強会に参加させて頂いています。このキャンパスでは多くの研究室があり、多様な研究が行われています、低学年の学生に対しても研究室の門を開いていてくださる研究室が多くあります。そんな早い段階で研究室にいけるのはなかなかないんじゃないかなと思います。
  
  総じて、こうした圧倒的な出会いの多さがこの学科の最大の魅力だと思います。同期を始めとして、病院キャンパスにいる生命科学科の先輩を伝手とした、生命科学科先輩とのご縁。それから各研究室で研究されている研究者との出会い。知識は本からでも得られるのですが、人から得られるインスパイヤはその後の人生に大きく関わるものだと思います。

入学してからの学習について教えてください

  医学はとても重厚で奥深い学問です。生命科学科は試験も医学科と同じなので、その点は大変でした。1つでも単位を落とすと留年なので、コツコツと日々取り組む必要がありました。時間をかけたいわけではないのですが、暗記することも多く、なんだかんだとやっていたら、帰宅して寝る直前まで勉強していたという日もありました。受験のときと同等かそれ以上勉強していたように思います。
 
 とはいっても、きついだけでなく大学の勉強には楽しいものもあります。それは、自分の興味に沿って進めていく勉強です。私は1年生の頃から疾患情報研究分野 今井教授の研究会に参加していて、先輩は発表で話された内容や紹介された論文を、空いた時間の気になった時に調べたりして知識を深めていきました。こっちの勉強は知りたいと思って進めることですし、やればやるだけいろんなことがつながっていくことがむしろ楽しくて、大変だという感覚ではなかったです。こういったことは、将来どの分野に進みたいか、自分が何をやりたくて何が得意なのか。そういったことを知る意味でも必要なもので、楽しみながら進められると思います。

授業外で印象に残ったことを教えてください。

  授業や研究以外では、部活を楽しんでいました。私は琴をやっていたこともあり、音楽系の部活に入ろうと思っていたのですが、そうなると医学部軽音部の一択でした。琴は音階があればすれ、打楽器のようなものであり、軽音部ではドラムをたたいていました。「勉強が好き、研究が好き。」と言っても、やりたくない時もありますし、上手くいっているばかりでもありません。そんな時に別に熱中できるものがあるっていうのはとてもいいものだと思います。あるワンフレーズが上手く叩けただけで、テンション高く一日を過ごせるような。そんな息抜きの場所でした。

  イベント前に個人練習をするときは週三回通う時もありましたが、普段は週一回くらい部活に行って楽しんでいました。医学部軽音部は、病院キャンパスの医学部、歯学部、薬学部、保健学科など全部の学部学科の学生が入部しているので、他の学科の話を聞けることも楽しかったです。
 

研究をはじめてみての感想を教えてください。

  私は耳の病気を経験したことから、神経に関わる研究に興味を持っていました。1年生の頃から今井教授の研究室でお世話になっていたので、その流れで3年生の研究室配属から卒業研究まで、今井教授の研究室でお世話になりました。3年生の研究室配属から研究に取り組みだしたのですが、3年生の冬くらいまでは、実験の基礎的なことを学び、それから卒業研究の迷走神経に研究を始めました。
 今井教授の研究室では、一人1テーマがモットーで、研究内容がバッティングしないよう今井教授が調整をしてくださいます。当然お互いに助けあったりもしますが、基本的にはそれぞれが自分の研究を進めます。後輩から「どうやって研究室を選んだらいいか」という質問を受けることもあるのですが、一番は相性だと思います。今井教授の研究室のこの体制が、どんどん進めたい私の性格にマッチして、とても取り組みやすいです。

  研究の楽しさですが、「今見ているこの現象はもしかしたら世界で初めてかも。」と思った瞬間に大きな高揚感を感じてます。自分が知らないだけで、初めてではないのかもしれないのですが、自らやっていることに大きな可能性を感じた瞬間はやっぱりいいなと思います。そしてただ単純に実験の作業も楽しいと思いました。いわゆるルーティン作業になるのですが、実験道具を操作することも素直に好きだと思います。そして、研究者はクリエイティブだと思います。実力社会で、年齢に関わらず結果をだすことができることも魅力のひとつだと思います。

  今、私は研究者としても人としても大切な「誰かを頼る姿勢」ということを、研究を通じて学ばせて頂いているなと思います。絶対、ひとりで完結できることはありません。その時に抱えた課題を解決するために、誰と誰を頼るのが良いのか、何を誰に教えて頂くのが解決に一番近いのかを自分で判断して、すぐに動けるような姿勢を身に着けてきています。そしてそのためにコミュニケーション能力も重要だと感じます。それは、将来的に自分が聞かれる立場になった場合にも、必須となるスキルだと思います。

研究者を目指す学生にメッセージをお願いします。

生命科学科のみんなと
人との関係を大事にしてくださるといいと思います。
私はこの学科にきてたくさんの良い出会いがありました。同期の仲が良いことが本当に良かったです。自分が苦しいと思う時でもすぐ横で同じように悩みながらも自分の好きなことを大切にしたいと頑張っている友人の存在に励まされました。これだけ少人数なのに、将来に進む分野は本当にバラバラなのも面白く、これからの将来それぞれが違う情報を交換し合えることは、学生時代に築けた財産だと思います。
 
 友人以外でも、教授や研究者の先生、先輩や後輩、様々な方からの刺激を多く頂きました。それを受けて、将来の希望ややりたいことがより明確になったように思います。自分の意思を大切にしたと思えばこそ、相手の意志も尊重できますし、そうして互いを尊重し合える人間関係は、どの学部学科でも、社会人になってからも大切なものになると思います。
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