先取り研究

九大生命科学科は、3年生前期の研究室配属から研究をはじめます。
それでも結構、充分、ものすごく、研究を始めるのが早いと思われるのですが、
生命科学科の先輩達の中には、それより以前から研究をはじめている方もいます。
今回は、そんな「先取り研究」の経験者に方にインタビューしました。

Proactive1

通常より早期に研究室配属を決めた理由を教えてください。
授業に出席してテスト勉強してテストを受けて・・・を繰り返すことは高校までと同じで退屈ですし、そもそも研究をしてみたいと思って大学に入ったので、早く研究室に入ろうと決めました。
どのようにして入りましたか(配属までにしたことや配属後の流れなど)。
まずは研究室探しからですが、もともと神経科学分野に強い興味があったので、そこまで迷うことは無かったです。2年生の10月頃に生理学の実習があるのですが、その担当が配属したかった研究室の方々だったので、実習終わりに直接研究を始めたい旨を伝えました。後日、教授の先生と面談したり、研究室の中を一通り見せてもらったりしました。急に飛び込む形ではありましたが、デスクやコンピュータ、実験器具をすぐに用意していただきました。本当に感謝しています。
どのような研究を行っていますか。
自分のプロジェクトはこれから決めます。現在は、主に基本的な実験の勉強をしています。具体的には、マウスの解剖や試薬調製、PCR(※)、遺伝子の設計、培養細胞の扱い方、アデノウイルスを用いた遺伝子発現などです。これらは生命科学研究をするための必修事項みたいなものです。はじめは主に助教の先生に教わりながら進めていきました。気付けば自分一人で色々考えることができるようになり、どんどん楽しくなっていきます。
※PCR: ポリメラーゼ連鎖反応のこと。わずかな量のDNAの特定配列をたくさん増やすことができます。
授業やテストとの両立はどのように行いましたか。
あまり両立しようという意識はなく、テスト前の忙しい時期ならそちらに集中、それ以外の期間は実験に勤しむという感じで進めてきました。本試・再試とも不合格となるような必修科目だらけなので、両立を図ろうとする考えは寧ろ危険かなと思っています。テストが近いのに無理矢理実験させられることは無いので、早く研究室配属しても必要な勉強時間は確保できます。
受験生へのメッセージ
授業以外の大学での時間は部活やサークルをするのが一般的ですが、特に研究職を目指す人などはここに研究を並べる考え方が広まってもいいのではと思います(部活やサークルではなく、研究室に入るべき!というわけではありません)。このコンテンツを作ろうと提案したのもその想いからです。高校まではどうしても受動的な学習が中心になってしまいますが、大学では自分で機会を見つけて経験を積みに行くという姿勢が大事だと思っています。大学生になると休日もたくさんあるので(ざっくり言うと1年で200日くらい)、自分が満足できるような大学生活が送れるように色々考えてみてください。
大学生活についてまだまだイメージできないところが多いと思います。匿名で質問できるフォーラムがあるので、どんな小さな疑問でも何かあれば是非書き込んでみてください(面接に役立つような情報が得られるかも)。

Proactive2

通常より早期に研究室配属を決めた理由を教えてください。
1年生のころから現在所属している研究室の研究会に参加しており、その際に実験に取り組むのは早ければ早い方が良いと教授に助言をいただいたため。
どのようにして入りましたか(配属までにしたことや配属後の流れなど)。
1年生のころに研究室の研究会に参加し、神経の分野の専門知識を深めました。その後2年生で馬出キャンパスに移動してくると夏に研究室のインターンシップに参加しました。インターンシップで実際に研究を行いとても楽しかったため、2年生の冬から授業後に研究室に通い始めました。始めは院生のお手伝いから始まり3年の秋に自分の研究課題を決め、そこから現在に至るまで研究に取り組んできました。
どのような研究を行っていますか。
腸に投射する迷走神経の研究をしています。具体的には私たちが食物を摂取する際、腸に投射する迷走神経がどのように脳へ腸に入った食物のシグナルを送っているのかということについて研究しています。一般的には腸から脳へのシグナルは血液を介した経路が知られていますが (血糖値の上昇など)、迷走神経を介したシグナルの経路の詳細は一部しか解明されておらず、このような末梢神経の研究は中枢神経に比べて未開拓な領域であるため興味を持ちました。
授業やテストとの両立はどのように行いましたか。
両立できていたかどうかは正直よくわかりませんが、基本的には授業を受けた後に研究室に通い、テストの2週間前は研究室をお休みして勉強に集中していました。テスト勉強は非常に大変でしたが、学部生のテストが忙しい時期 (学部2年から3年) は院生と一緒に研究の基本的な作業や解析を学び、テストが少なくなってきた時期 (学部4年以降) から本格的に自身の研究課題を決め取り組んだのでテスト勉強に大きな支障がでることはありませんでした。
受験生へのメッセージ
大学は高校と違い授業以外の時間がたくさんあり、その使い方は非常に多様性があります。部活やバイト、趣味などに熱中するのもいいと思います。
しかし、生命科学科では放課後に研究室に通うという選択肢ができます。当学科は比較的早期に研究室配属があり研究室と関わる機会が非常に豊富です。また、多くの研究室は勉強会やインターンシップを開くなど学生が研究室に参加する機会を設けています。そのようなきっかけを利用して学部生のころから研究に取り組む大学生活も非常に楽しく意味のある時間だと個人的には思います。受験生の間は具体的な大学生活を思い描くことは難しいかもしれませんが、少なくとも私は生命科学科に入って、研究室との恵まれた多くの機会をいただいたことで充実した大学生活を送ることができました。生命科学科を受験することを考えている方々には希望を持って、受験勉強に取り組んでいただきたいです。

Proactive3

参加された西風塾について教えてください。
毎年春休みに先生のご厚意で開催される1週間の授業兼研究体験です。たくさんの先生方や院生の方に教えていただき、生命科学系の知識を深めます。主に2年生が参加します。
参加されたきっかけを教えてください。
授業で先生が紹介してくださったことで存在を知り、2年生ではコロナウイルスの影響で実験があまり出来なかったので、3年生の研究室配属に向けて経験を積んでおきたいと思い、参加しました。
どんなことをしましたか。
約1週間のプログラムのなかで、講義を聴き、実験をし、全体で発表をしました。 まず研究室の先生の講義を聴いた後、くじ引きで3人班に分かれてそれぞれ研究室に配属されました。私(N)は農学部の石野先生の研究室で、古細菌のタンパク質の構造解析を行いました。細菌を培養したり、タンパク質を取り出したり、電子顕微鏡で観察したりと、普段の授業ではしない操作を丁寧に教えて頂けました。 私(S)はまだ一度も授業を受けたことがない”細菌学”の研究室に配属となり、初めは不安でいっぱいだったのですが、寒天培地に細菌と薬剤を塗ってコロニーの形成を確認したり(細菌の薬剤耐性を調べる実験です!)、DNAの配列を一部変えた細菌の複製能や体積をそれ専用の大きな機械を使ってデータでみたりしたときはすごく感動して、研究って楽しいなぁ!と改めて感じることができました。 最終日には全ての班で集まって発表を行いました。発表の仕方もしっかり教わり、私(N)の班は賞も頂くことが出来ました。
参加して良かったと思うことを教えてください。
医学部では実験を出来る機会が少なく、授業で習っても実感が無く、難しいと感じていました。そこで、実際に実験操作の方法を学びながら知識を得ることができてよかったです。パワーポイントを使っての発表もすごく勉強になりました。発表の後には質疑応答があり、そこで色んなことを聞かれて私はたじたじになってしまったのですが、これから自分に必要なことを早く見つけられて、本当によかったと思います。また、同じ生物学を学ぶ学部でも、理学部生物学科、農学部応用生命コース、薬学部創薬学科といった違う学部の人が集まっていました。それぞれカリキュラムや学ぶ内容が違うので、お互いに情報共有が出来る仲間が出来たのも良かったです。

Proactive4

論文輪読会に参加されたきっかけを教えて下さい。
入学したものの、1年生は生命科学の授業がほとんど無いので、早いうちから研究に触れてみたい、と思って参加し始めました。生命科学科のHPから応募しました。
どんなことをしましたか。
毎週Zoomで大学院生の方々がしてくださる論文紹介を聴きました。何も知識がないうちから実際の論文を読むのはハードルが高いですが、研究室の方が分かりやすくまとめてくれていたので流れだけでも理解することが出来ました。
参加して良かったと思うことを教えてください。
(Iさん)
発表に用いられる論文はタイトルだけでも興味を引くものばかりで、とても面白かったです。一人で読むとわからない単語が出てきたり、図の解釈ができなかったりと最後まで読めなくても、輪読会ならわかりやすく説明してくれるため、気軽に最新の研究に触れることができた点はとてもよかったです。
(Nさん)
私(N)は高校で生物を選択していなかったこともあり、初めは分からないことばかりでしたが、2年生になって生命科学の授業が始まると、輪読会で聴いたことと、授業の内容が結び付けられるようになったので良かったです。また、入学前に感じていた英語論文のハードルが少し下がりました。